やあ!
俺の名前はジェームズ、上手く焼けた肉だけに宿る肉の精霊さ!
これは俺が出演した動画な
今からお前らに、食っただけでシャブ打つよりも最高にトべる、マジで旨い肉の焼き方を教えてやろう
旨い肉を食えば、暗い気持ちも一転
親鸞もびっくりの極楽浄土にひとっとびだ
悩めるお前らにぴったりだな!
あんまり記事が長くなるといけねえから4回に分けよう
なんつったって俺は肉の精霊
冷めたら美味しくなくなるだろ?
その時点で俺は消えちまうんだ
今回は生肉について教えてやろう
生肉を知る事で初めて、「火が通った肉」との違いが分かるようになる、って算段だ
食中毒リスク
普段お前らが食べる肉ってのは、主に3種類あると思うんだ
牛、豚、鳥だな
マニアックな奴はラム肉とか好んで食ってるかも知れねーが、そいつは基本的に牛と同じ考え方で焼けばいいから今回は省くぜ
なんで3種類に分けたかって言うとさ、それぞれ食中毒リスクの原因になってる菌が違うからなんだ
牛肉は腸管出血性大腸菌
豚肉はカンピロバクター、線虫
が主な菌たちだ
線虫は寄生虫だからちょいと違うけどな
実は牛肉でもサルモネラやカンピロバクターを保菌している可能性があるには有るんだが、そのリスクは鶏肉よりも低いんだ
なんでかっていうと、解体方法が違うから、だな
サルモネラやカンピロバクターは腸内細菌なんだが、解体時に内臓を傷つけてしまうことで肉についてしまう事がある
鳥肉は短時間で大量に捌くから腸を傷つけてしまう場合が多いってわけだ
一方で牛肉は丁寧に捌かれる事が多いからそのリスクも低い
勘の良い奴は気づいているかもしれねーが、丁寧に捌かれてない牛肉は食中毒のリスクが高まるってことだな
国によって販売されている肉の保菌率に大きな差が有るのはそういう理由だ
お前らが住んでる日本はバカみてえに衛生基準が厳しいから、鶏肉だとしてもカンピロバクターの保菌率は4割から6割くらいだったりする
まあ痛い目見たくないならちゃんと菌が死ぬまで加熱してから食いなよ?
最近知り合いの橘って奴がカンピロバクター性の食中毒になってさ
どうやら期末試験の打ち上げで鳥ユッケを食ったらしい
40℃の熱が6日続いて、楽しみにしてたライブも行けなかったんだってさ!
上手く焼けた肉に宿る俺としては生肉を食うなんて言語道断だぜ
ざまあみろって感じだな!
筋繊維を構成するタンパク質
「肉」と一言で表しても、肉って名前の物質があるわけじゃない
俺たちが肉って呼んでるのは、要するに筋肉だよな
じゃあ筋肉ってのは一体どんな物質で出来てんのか?って話だ
筋繊維を構成するタンパク質にはいろんな種類が有るんだが、肉を焼くって観点なら以下の3つのタンパク質を押さえておけばいいだろう
ミオシン、アクチン、ミオグロビン
だ
低温調理を何時間もやるとか、煮込みやるってんだったらこれにコラーゲンが加わってくるんだが、俺はアンチ低温調理だからここでは省くぜ
肉を焼くってのは、つまり筋繊維を構成しているタンパク質に熱を加えて変性させる、ってことだ
ていう事はだな、タンパク質が何度で変性して、変性したらいったいどうなるのかってのをきちんと知っておくべきなんだ
高校で化学を習ってた人間なら、タンパク質に熱を加えると3次元構造が不可逆的に変化するってのは知ってる話だろう
よく体温が42度を超えると危険って言われるが、これは同じ理由だな
じゃあ先に挙げた3つのタンパク質は何度で変性するのかっていうとだな
ミオシンは55℃
アクチンは70~80℃
ミオグロビンは65℃~70℃
なんだ
じゃあ変性するとどうなるかというと
ミオシンの場合、生肉特有のグニュっとした感触から歯切れの良い感触に変化
アクチンの場合、水分を含んだ柔らかい状態から水分が抜けた固い状態に変化
ミオグロビンの場合、鮮やかな赤色から灰色に変化
するんだ
正確には、ミオグロビンは酸素と結合してオキシミオグロビンになることで鮮やかな赤色になるんだがな
変性すると酸素と結びついても灰色のままだ
お前らにとって理想の肉ってのは一体どんな肉だ?
生肉はそれはそれでおいしいらしい(と橘が言っていた)が、ここでは「理想的な火の入った肉」について話しているのでおいておこう
これは肉以外の食べ物にも言えるんだが、テクスチャ、すなわち食感は人間が感じる「旨さ」に密接に関わってる
塩味、酸味、苦み、甘味、うま味の味覚、嗅覚、視覚、そして触覚の、聴覚以外の五感すべてに働きかける料理ってのが、真に旨い料理ってもんだ
(まあ厨房からバイト怒鳴ってる声聞こえたらどれだけ美味しい飯でも不味くなるから、聴覚も重要かもしれんがな)
その観点で行くと、味覚、嗅覚の部分は、焼かれた肉っていう素材の味が要素の大半を占める料理である以上こちらが関与する部分は少ないよな
勿論塩味をキメるのは超大事だぜ?
となると肉を焼く際にこちらが注力すべきは視覚、触覚に全力で媚びる事だ
つまり人間が旨いと感じる食感に、見た目に、「焼き方」にするべきだろう
ならば嚙み切りにくいより歯切れがいい方が良いし、硬くて顎が疲れるより柔らかい方が良いし、くすんだ灰色より鮮やかなピンクが良いだろう
なんで鮮やかなピンクが良いかって?オナホもわざわざ中が赤だったりピンクだったりで作られてるだろ
ここから以下の結論が導かれる
ミオシンを変性させ、かつアクチンとミオグロビンを変性させない温度で加熱する
のが触覚、視覚に最も迎合した「焼き方」って事だ
そして
ミオシンは55℃
アクチンは70~80℃
ミオグロビンは65℃~70℃
だから
55℃~65℃で加熱する
ってわけだ
まとめ
でも忘れちゃいけねえことがある
食中毒の話だな
大体の菌は58℃~63℃、30分ほどの加熱で死滅する
ぶっちゃけ体調が悪いとか、子供、年寄り以外は多少の菌を入れても症状は出ない
死滅ってのはつまり熱に強い個体まで死ぬって事だから、58℃程度の加熱でも余程のことが無い限り食中毒にはならないのさ
俺のおススメは58℃だ
ミオシンが変性しきった一歩先って感じだな
という訳で次回は、牛、豚塊肉を、58℃目標で最高に旨く焼く方法を教えてやろう
さらば!!